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鍼灸刺激による免疫調節に関する最新の研究

Posted by 鍼灸ニュース on Jun 5, 2020 7:00:00 AM

世界的に感染が広がる新型コロナウイルスの脅威が拡大する中、感染予防のためマスクの着用や、こまめな手洗い、咳エチケット等が推奨されています。

 

しかし対策をいくら施したとしても、完全に感染防止ができるとは言い難く、またこれから感染拡大の波が第二波、第三波と来る可能性も否定できません。

人類はコロナと共存していくという選択が今後求められていくのではないかと一部の人の間で言われており、このような考えをウィズ(with)コロナと言います。

そんな感染症から身を守るために重要になってくるのが「免疫力」です。

 

昨今、このコロナの影響もあり免疫力向上を謳って色々な治療法や、食材、エキササイズ、サプリメント等が、市場で見受けられます。

 

鍼灸治療も例外では無く、多くの鍼灸師が鍼治療や灸療法が免疫力向上に繋がると謳っております。

 

しかし免疫力の向上とは一体どういう状態を指すのでしょうか?

そして鍼、灸は免疫力向上にどういった機序をもって働くのでしょうか?

 

そこで今回は2020年3月に九州看護福祉大学紀要に掲載された「鍼灸刺激による免疫調節~現状と課題~」より、簡単に鍼治療の歴史、そして鍼治療がどのようにして免疫力向上に繋がるのか、見ていきたいと思います。

 

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【要旨、はじめに】

・鍼灸治療は6世紀半ば中国から伝来し、その後独自の発展を遂げた。

・明治7年に医制が交付されるまで日本の医学の一翼を担った。

・明治新政府下では漢方から西洋医学への大転換が起こった。

・さらに敗戦後GHQにより鍼灸は「不衛生で、科学的根拠がない野蛮な行為」とされ鍼灸禁止の要望が出された。

・しかし1971年、アメリカのニューヨークタイムズ紙のレストン記者による 「鍼麻酔」が大きくクローズアップされブームになる。

・免疫系をはじめとして鍼灸の治効メカニズムの解明が、進められている。

 

鍼灸による免疫調節〜自然免疫と獲得免疫〜

〜鍼灸による自然免疫〜

・鍼による微細な組織損傷、灸による熱刺激の軽度な熱傷。

・病理学的に炎症とは発赤、熱感、腫脹、疼痛、機能障害の5つの徴候と定義されているが、鍼灸による刺激はマイルドなものであり、病理学的な炎症にあてはまらないことに鍼灸刺激の特殊性が存在すると考えられる。

・鍼刺激によってインターロイキン6(IL-6)の産生誘導やINFΓの産生が起こることを示した。

・灸刺激によってマクロファージや樹状細胞など自然免疫系の細胞を介しサイトカイン産生が起こることが示された。

・鍼刺激によってウイルス感染の早期に対応するNK細胞の活性が増強する結果が示されている。これがいわゆる東洋医学ならではの「未病治」という概念に繋がっている可能性が示唆される。

 

〜鍼灸による獲得免疫〜

・鍼灸刺激によるサブスタンスPやCGRP放出によっておこるフレア現象などが免疫調節に関与している可能性がある。

・しかし鍼灸刺激によってCGRPの放出を促すというのであれば、CGRPはアレルギーを増悪させる因子になりえる可能性があるので、鍼灸刺激によりアレルギーが増悪する仮説が成り立ってしまう。

・鍼灸の刺激は、個体の状態によってあるときは促進的にあるときは抑制的に効果を示すということが経験的に知られている。それは、現代科学の視点からすれば非常にミステリアスな反応である。

・しかし鍼灸治療は患者の病態によって同じ治療をしても免疫反応が異なることや、鍼灸の免疫系への効果が異なることを指摘している論文もあることから、正常状態のヒトやマウスへの鍼灸刺激の効果が必ずしも病的状態のヒトに同じ効果をもたらさない可能性があり、臨床研究において実際に患者に対して鍼灸の免疫系への効果があるかどうかの症例集積が今後重要となる。

 

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 免疫とは大きく二つに分けることが出来、それがこの論文にも登場した自然免疫と獲得免疫です。

この論文によると鍼灸治療は自然免疫、獲得免疫、両方に効果があると言えそうです。

自然免疫とは簡単にいうと食細胞と言われる細胞によって素早く病原体を食べてしまうことです。代表的なものに好中球や、マクロファージ、NK細胞などがあります。

獲得免疫とは自然免疫では対応しきれなかった病原体が体内で増殖を始め、ウイルスや細菌、がん細胞のような病原体が現れた時に活躍する免疫のことです。インフルエンザやBCGなどのワクチンはこの仕組みを利用しています。

代表的なものにT細胞やB細胞といったリンパ球といったものがあります。

 

鍼灸はそのどちらの免疫システムにも効くとされており、

自然免疫→NK細胞の活性化

獲得免疫→CGRP、そして血中のT細胞を増加させる働き

という作用が現在明らかになっております。

 

鍼灸が同じ刺激を行なったとしてもその人の状態によって反応が変わるということは、臨床でよくみかける光景の一つであり、非常に興味深い反応ですね。

鍼灸が免疫力向上に役立つメカニズムはこのように科学的にも証明されております。これが鍼灸師、そしてそれが必要な患者さん達に正しく理解していただくことで、今後より広がっていくことを願っております。

 

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りょうたくん

written by 村中僚太(鍼灸師・ケアマネージャー)
 国立大学法人筑波技術大学卒後、臨床研修卒。「医道の日本」、全日本鍼灸学会誌等へ論文を掲載。英国SPA会社Steinerにて豪華客船鍼灸師として勤務、優秀なクルーに送られる「Moment that matter]受賞。5年で約4,000人の治療を担当。 訪れた国は50以上、200都市を超える。 現在はジョージアにて「日本鍼灸を海外へ」をテーマに鍼灸院を開業。

Topics: 鍼灸, 治療, 免疫力

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